【作业中/未完成】【翻译】Febri Vol.58《Thunderbolt Fantasy 西幽玹歌》特辑 虚渊玄访谈

2020-06-03

本翻译曾发布于本人的新浪微博@宅家吃土K喵喵 。

页面地址:

《Febri Vol.58》Kindle版购买地址→https://www.amazon.co.jp/dp/B082N254H6/

日语原文&简中翻译对照版,仅供学习参考使用

《Febri Vol.58》P32 杂志原图 《Febri Vol.58》P32 杂志原图

P32

Interview

原案・脚本・総監修 虚淵玄

「Thunderbolt Fantasy Project」第三の主人公、浪巫謡。その過去を描いた快作『Thunderbolt Fantasy 西幽玹歌』の裏側を虚淵玄(ニトロプラス)に聞いた。怒濤の勢いで広がる作品世界の今後の展開を占うヒントも!? (取材·文/前田 久)

――『Thunderbolt Fantasy 西幽玹歌(以下『西幽玹歌』)の物語は、どのようにして生まれたのでしよう?

虚淵 今後のンリーズの展聞に備えて、浪巫謡というキャラクターのパーソナリティを他のスタッフと共有したいという考えがまずありまして。実は最初、今回の外伝は霹靂社さんの作品を普段手がけている、現地のシナリオライターさんに書いてもらうことも考えたんです。それで実際に何本かプロットを立ててもらったんですけど、ネックになったのが、やはり浪巫謡に謎がありすぎたことでした。『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀(以下「東離劍遊紀」』の2期で描いた以上の情報がないせいで、踏み込んだキャラクターとして描けていなくて、これはまずいな、と。で、キャラクターの説明を改めてメモにして渡すくらいなら、それをそのままフロットにしたらいいじゃないか、と。生い立ちから始めて、どんな風に現在の浪巫謡になっていったのかを説明する、そんな内容の物語を作ろう……そついった経緯で出来上がった作品です。

――浪巫謡の背負っているものがかなり明らかになりましたが、母である咒旬瘖が何者なのかは、まだまだ謎めいています。

虚淵 そうですね。咒旬瘖は浪の出生の秘密を握る人物であり、それに関しては浪も一切説明を受けていない。そこを語るような展開も、今後おそらくあるんじゃないかと思います。『Thunderbolt Fantasy Project』は可能な限り続けていきたいと思っているので、ひとつの物語の中ですべてを語りきろうとは考えていないんですよね。

――咒旬瘖に関連したシーンだと、歌と同じものとして剣技を教えるという描写が印象に残りました。あれはどういう発想で?

虚淵 あれは力ンアーものではよくあるネタで、江波(光則)さんの書いた外伝にもありましたよね。もともと布袋劇には歌と踊りの要素が多分に含まれていて、人形を演じる上では踊りも戦い等しく重要なアクション要素として扱われている。その感覚が物語にもフィードバックされているような気がします。

――確かに布袋劇は舞うように戦い、戦うように舞う。『西幽玹歌』にも、まさにそのイメージで展開されるシーンがあります。

虚淵 日本の時代劇のチャンバラとはまったく違う感覚ですよね。

――布袋劇という力ルチャーの中でも違和感のない表現であり、作中の世界でも、歌と武技が地続きの技術と考えられている。

虚淵 その感覚はあります。

――睦天命と嘲風という、新たな女性キャラクターも印象的でした。誕生秘話がありましたら聞かせてください。

虚淵 実はこのふたり、どちらも先ほどお話した霹靂社のライターさんが書いたプロットで登場したキャラクターなんです。ただ、名前はそのままですが、性格づけや役回りはガラッと変えさせていただきました。女性ふたりが浪巫謡を巡って動くことで、物語が展開していく……といっ要素だけをいただいた形ですね。浪巫謡というミステリアスな美青年の物語を描くにあたって、彩りとして恋愛劇を絡めていこうという狙いが霹靂社さんにあったのかもしれないです。

P33

「睦天命と嘲風は、

どちらも浪巫謡を肯定する存在」

――性格づけ、役回りはどのように?

虚淵 浪巫謡の生い立ちを描く物語に登場するキャラクターとして、彼が少年から青年になり、「男」になっていく時期に、ターニングポイントになるような価値観を見せるキャラクターにできればと考えていきました。山の中で 英才教育を受けていたような、ある種の人格破綻者が社会と折り合いをつけていく上で、ハードルとして飛び越えなければならない、もしくは、階(きざはし)として足がかりにする存在なわけですよね。一種の通過儀礼と言いますか。出会ったことで「自分が何を考えるのか」を問われる、それまで持っていた価値観をひっくり返すようなキャラクター。どちらも浪巫謡のことを肯定する存在ではあるんです。母親を殺してしまったトラウマ、罪悪感を抱えながら生きてきた男を、「あなたはそういう人間でいい」と、それぞれ別の角度から肯定してみせる。で、どちらの肯定を真に受けるかによっ て、彼の行く末が決まるわけです。つまりは、自分の背負ってしまった「原罪」を抱える上で、どんな方法を選ぶのかを考えるきっかけなんです。

――睦天命の声を演じる東山奈央さんは、作品の冒頭で浪巫謡の少年時代も演じています。今の話を踏まえると、キャスティンクも意味深です。

虚淵 そうですね。浪巫謡が失った母親との絆を象徴するキャラクターとして、昔、母親に愛してもらえた声と同じ声をしている人物として睦天命を登場させたいということを意識して決めた配役でした。

――造形的にはその……あまりこういう話をするのもなんですが、胸が素晴らしいというか、見ていた映画館では、登場した瞬間に客席が少しざわついていました(笑)。

虚淵 そうですか(笑)。いやあ、実は胸は少しもめたんですよ。

――そうなんですか!?

虚淵 僕としてはそこまでセクシャルな記号を背負ったキャラクターにはしたくなかったんだけど、「ファン層を広げる武器のひとつになるかもしれない」という関係者の意見もありまして。

――基本的に今作は虚淵さんが総監修という立場でいろいろなことを決めているかと思うのですが、そこは他の方の意見も反映されていた。

虚淵 ですね。刑亥や蠍瓔珞みたいなキャラクターだったら、「魔性の美女」といつことでいくらデ力くしてもらってもよかったんですけど、睦天命はその役回りでもないよなあ、と僕は考えたんです。でも、だからといって、胸が大きければそれが必ず魔性というのも、それはそれで差別なわけですよ。そこまでキャラクターの表現を記号論に吹っ切っていくのはよろしくない。そんなことも考えながら、いくつか霹靂社さんにパーツのパターンを作ってもらって、最終的に今の形に落ち着きました。最初に作ったものよりは、少し大きさを抑えてもらった感じです。やりすぎちゃいけない、くらいのバランスで。

P34

――嘲風はそんな睦天命と好対照のキャラです。人形の造形も幼く、可愛い系。

虚淵 睦天命のネガといっか、負の側面として作りたかったんですよね。ある種の弱肉強食の理論の持ち主と言いますか。「お前は人より優れているのだから、人を殺めて、食い物にして生きていくのは当然の権利である」と語りかける。「他の人たちとわかり合って、手を取り合って生きていくなんて、はなから期待するほうがおかしい」という価値観を提示する。睦天命の示すものとは正反対の、ひとつの世渡りの方法ですよね。

――どちらも今回のエピソードを無事生き残ることができたわけですが、今後の展開で再登場はあるのでしょうか?

虚淵 そうですね。せっかくキャラクターもうまいこと立ってくれたので、ぜひ出したいと思っています。

――安心しました(笑)。ところで、睦天命と殤不患はどういう関係なんですか?

虚淵 あ……とりあえず『西幽玹歌』の段階では、仕事仲間と言いますか、お互い性別はそこまで意識していないです。それどころじゃない状況下に身を置いているので。まるきり好意がないというわけではないけど、恋愛関係なんか結んだら弱みになるから、一線を引いて付き合っている……みたいなスタンスかと。会社の同僚みたいな感じですよ。それ以上の関係に踏み込んだら、お互い会社にいられるかわからないよっていうときは、みんな気を使うじゃないですか(笑)。

――しかも、ふたりそろって大事なプロジェクトに関わっている状態で(笑)。

虚淵 そう(笑)。当然、お互い憎からず思っているんですけど、プライベートの関係になっちゃいけないと考えるくらいには、どちらも大人ですね。

――武侠ものでは男女のペアはひとつ王道の設定でもあるとか。

虚淵 ですね。ただ、やっぱり恋愛感情が弱みになっちゃう世界観なんですよ。恋愛感情が一点突破、大逆転のパワーにつながることはない。恋愛して、家族を持って、子をなしてというのは、戦いの一線から退いたあとに許される賢沢なので、現役の人たちは自戒するんですよね。

――ふたりは『西幽玹歌』の時点でどれぐらい一緒に活動しているんでしよう?

虚淵 かなり長いですね。魔剣集めの早い段階から、ずっと一緒にいるんじゃないかと思います。天工詭匠を含めたチームになってからはあまり経っていないですが。

P35

「新キャラの役人を出すくらいなら、

嘯狂狷にその役をやらせたかった」

――そこから『西幽玹歌』で3人組になり、『東離劍遊紀』のー期に至るまでの活動がある。ちなみに『西幽玹歌』の時点で魔剣はどれくらい集まっていたのですか?

虚淵 36本には全然届いていなくて、でも、すべてを持っては歩けない量です。で、どうしよう……というタイミングが『西幽玹歌』なわけですよ。

――だから天工詭匠の巻物の技が必要だったんですもんね。

虚淵 そういうことです。魔剣集めの中盤くらいの時期かな。天工詭匠の研究室に並んでいる剣しか、まだ集められていない状態です。

――なるほど。そういえば、先ほどからつい殤不患と呼んでしまっていますが、今回の登場時には別の異名、「啖劍太歳」と呼ばれていました。このネーミングはどこから?

虚淵 霹靂社さんに相談して、「魔剣を集めている危なっかしい人物」という状況に合うあだ名を考えてもらったんです。「剣を食らう魔王」みたいな意味だそうですよ。

――そんな「啖劍太歳」時代の殤不患一味と、鬼畜眼鏡……嘯狂狷との因緑も今作の見どころかと。思った以上に深いもので驚きました。

虚淵 前のシリーズで活躍してくれると情が移るんですよね。それでついつい、前日譚で出番を作りたくなっちゃう。せっかく人形もありますし。今回の展開で新キャラの役人を出すくらいなら、嘯狂狷にその役をやらせたい……ということで、ああなっちゃいました(笑)。

――2期に続いてまたいい塩梅の小物ぶりで。小物感はあるけれども、鬼畜で非常にひどいことをやるあの感じは、虚淵さんとしても描いていて手応えがあったのでしょうか?

虚淵 僕としては、あいつはあいつで巧みな処世術を持っているというか、ひとつの賢いやり方をしている人物だと思っているんです。いわゆる「英雄好漢」の生き様にそんなに見劣りしないくらいには、筋の通ったやり方をしているのではないか、と。

――成り上がるためなら何でも利用する姿勢を貫いていますもんね。悪辣なところと可愛げのバランスが絶妙で、興奮した嘲風に殴られる扱いの悪さなど、たまりませんでした。

虚淵 しかも、それで傷を負うわけでもなく「そういうものだ」みたいに諦めているあたりが嘯狂狷らしいところです(笑)。

――神誨魔械の一撃を喰らってもギリギリで生き延びるところにも、らしさを感じました。彼と殤不患たちの間には、2期までにまだまだ接点がある?

虚淵 まあ、そうですね。2期で名前が出たとき、あれだけ警戒されるくらいには、繰り返し殤不患たちを窮地に陥れるような展聞があったんだろうなと思います。しばらく追いかけ回されたんじゃないでしょうか。

――キャラクターだけでなく、作品の舞台の広がりという点でもいろいろと興味深い描写のある外伝でした。例えば、あの世界には今で言うライブハウス的な店がある(笑)。

虚淵 歴史上の中国とも全然違う世界観ですからね(笑)。宮廷では澤野(弘之)さんの音楽が流行するファンタジー世界なわけで。あの世界では、あの音楽性が雅なものなんです。

――「雅な音楽」という言葉から連想されるような、いわゆるべタな民族音楽調ではない。そうしたいい意味での遊び心がこのシリーズの魅力のひとつで、嘲風の言動にもバンドのおっかけのようなテイストを感じました。

虚淵 一線を踏み越えてしまったファンっぽいところがありましたかね(笑)。

――手でハートマークを作る動作の細やかさも素晴らしくて。

虚淵 ああいった工夫は現場から出てきたもので、僕も映像を見て驚きました。嘲風は年齢的にも若い設定なので、若いスタッフさんの意見を聞いて、若者の動きを取り入れたそうです。普段の布袋劇でそういう動きをする機会ってなかなかないと思うんですよね。だから、そういう意味でも、楽しみながらいろいろと工夫してもらえたんじゃないかと思います。

P36

――映像の進化はすごいですよね。もともとレベルの高い表現でしたが、更に加速している。虚淵さんが見て驚いたところはありますか?

虚淵 いやもう、それに関してはどこもかしこもです。特に今回の外伝は、最初から劇場作品の長さで作ると決めていて、結構、賛沢な予算の使い方をしてもらえたので、ひと際見ごたえのある画になったかな、と。テレビはテレビで、創意工夫によって経済的かつ見栄えする作り方でいいんですが。……ああ、あえてひとつ挙げるなら、血しぶきの量が違うところは驚きました。「そこまでやるかー」って(笑)。

――確かに(笑)。折った竹で顔の横から串刺しにする描写など、こんな殺し方もあったんだ、としびれました。

虚淵 まったくねぇ。アクンョンに関してはほぼこちらからのオーダーはなくて、完全に現場の工夫で紡いでもらっています。せいぜいセリフや、どっちが押している、どっちが負けている、どっちが逆転する……みたいな段取りをシナリオに書くだけです。それを実際どのように表現するかは、回を重ねることに、先方に委ねる部分が多くなっていますね。

――萬世神伏を使って起こす地割れも、大スペクタクルなシーンに仕上がっていました。

虚淵 あそこの撮影は大変だったみたいですね。なまじ実写で、一発勝負でしか押さえられないすごい画を撮っているだけに、それをどうCGと合成するかというのが大きな課題になったそうです。でも、その甲斐のあるシーンになったと思います。

――今後放送を控えている3期、更に、今日のお話だともっと先もありそうですが……ひとまず現状、虚淵さんの中では『Thunderbolt Fantasy Project』に関し て、とのような展開を考えているのでしょうか?

虚淵 そうですね。具体的なことをお話するのは難しいのですが、日本のお客さん、台湾のお客さん、両方にびっくりしてもらえるようなギミックを今後の展開に仕込もうと思っています。あえて設定をフワッとさせて作ってきた世界観なので、その分だけ掘り下げようもある。3期のシナリオも、実はもう、あと最終話を残すだけの状態まできています(10月31日取材日現在)。撮影も好調に進んでいて、また1期、2期とも違ったベクトルの映像を楽しんでもらえるように心がけつつ、世界観も広げられるような3期になっていますので、ご期待いただければ。

「日本のお客さん、台湾のお客さん、

両方にビックリしてもらえるギミックを仕込めれば」

――そういえば『西幽玹歌』では、東離と西幽だけではなく、新たに「南方」という土地が描かれました。蛮族がいて、そこにも広大な土地が広がっている。

虚淵 そういうイメージですね。公式サイトのキーワードにも説明がありますが、萬輿(ばんよ)という大きな国が、たまたま窮暮之戦(きゅうぼのせん)で真っニつに割られて東離と西幽になった……というだけなので、実は更にその周囲にいろいろな国が存在しているんです。電車や飛行機で移動できる世界ではないので、そういう国ごとの交流は足頼み。だから、あの世界には未開の土地も相当あるんだと思います。萬輿の民がまだ出会っていない国もあるでしょうし。

――聞くほどに気になる話ばかりで……3期の物語は、時系列的には先に進むのですか?

虚淵 進みます。いわゆるナンバリングされた『東離劍遊紀』とついた本編シリーズは、なるべく時間軸を先へ先へと進めて、過去に戻ったり裏話をするのは外伝で。ひとまずはそういう方針で進めたいと思っています。

――今後、外伝で掘り下げてみたいキャラクターはいます?

虚淵 どのキャラもその余地はあると思っています。本編シリーズを完全に作り終えたあとで、それぞれのキャラクターの外伝を作っていくような拾い方ができるコンテンツになるといいなと思っています。

――広げる先は大量にありますもんね。

虚淵 そういう作り方をするのは初めてなので、楽しいです。

――そういえば、『Thunderbolt Fantasy Project』そのものとは離れますが、関連した動きで、霹靂社のオリジナル布袋劇シリーズが、Netflixで『PILI人形劇:ウォー・オブ・ドラゴンズ』として配信され始めました。

虚淵 こういう流れを作りたくて始めた『Thunderbolt Fantasy Project』だったので、うれしいです。もうちょっと世界に注目してほしいというか、台湾の外からも見ることができるコンテンツになってほしいという気持ちがあって、それがようやくNetflixで可能になった。改めて見るとやはり味わいが違って、「これがあるべき姿なんだよな」みたいな感覚にはなります。『Thunderbolt Fantasy Project』は結構、日本向けにチューニングをしているので。

――以前の取材で少し聞きましたが、霹靂社制作の布袋劇では、素還真という主人公を巡る壮大なサーガの一部が、ほとんど何の説明なくスタートするのに驚きました。

虚淵 ええ、そうなんです。しかも、主人公なのにいきなり死ぬ(笑)。ただ、日本の作品にもそうした、壮大な年表の途中をいきなり作品化して見せるような内容で成功しているものがありますし、世界の例を見ても、『スター・ウォーズ』はいきなりエピソード4から始まるわけですよ。うまく広がっていってほしいですね。

――この流れで何か『Thunderbolt Fantasy Project』と絡めた展開も……?

虚淵 実はもう、ちょっとしたお遊びで、殤不患と凜雪鴉が向こうの本編にカメオ出演したりはしているんです。本格的なコラボは……こちらのシリーズも長く続いて、先行きでそういう夢が広がればうれしいですが、まだまだです。そんなところも含めて、今後にご期待いただけたらありがたいですね。

PROFILE

うるぶち・けん

株式会社ニトロプラス所属。小説家・シナリオライター。主な作品に『魔法少女まどか☆マギ力』『楽園追放 -Expelled from Paradise』などがある。12月より最新作『OBSOLETE』がYouTubeにて配信中。

〈完〉