【作业中/未完成】【翻译】Febri Vol.53《Thunderbolt Fantasy 东离剑游纪2》特辑 虚渊玄访谈

2020-06-03

本翻译曾发布于本人的新浪微博@宅家吃土K喵喵 。

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日语原文&简中翻译对照版,仅供学习参考使用

《Febri Vol.53》P42 杂志原图 《Febri Vol.53》P42 杂志原图

Febri

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Interview 原案・脚本・総監修

虚淵玄

原案・脚本・総監修として『Thunderbolt Fantasy Project』を牽引する虚淵玄(ニトロプラス)(※以下「虚淵」)。留まることを知らない「霹靂布袋劇」への情熱、広がり続ける作品世界について、たっぷりと語ってもらった。 (取材・文/前田 久)

PROFILE

うるぶち・げん 株式会社ニトロプラス所属の小説家、シナリオライター。主な作品に『魔法少女まどか☆マギ力』『PSYCHO-PASS サイコパス』『仮面ライダー鎧武/ガイム』『楽園追放 -Expelled from Paradise』『GODZILLA』3部作など。

―― 第2期の物語はどのようなコンセプトだったのでしょうか?

虚淵 第1期はキャラクターの謎というか、それぞれの人物たちの隠された設定を明かしていく形で展開する物語でした。第2期はそうして明かされたそれぞれの手の内を踏まえた上で、どのような話を作っていくかが最初のコンセプトだったんです。いろいろな背景を背負った人間が、どう冒険に巻き込まれていくか。言い換えると、先々長いシリーズにすることを考えた上で、凜雪鴉と殤不患というキャラクターの「主体性」を立ち上げる話だったと思います。あと、もうひとつのポイントは、3人目の主人公というポジンョンで浪巫謠を登場させることですね。

―― キャラクターの謎に代わる、シリーズの縦軸となる要素はどのようなものを?

虚淵 とにかく先の読めない展開にすることを意識していました。強いキャラクターが圧倒 的に強いのではなく、弱点を突かれることもあれば、状況や条件によって弱体化することもあ る。キャラクターの強さやパラメーターを数値化して、誰が強いか比べるような議論が自分は 嫌いなんです。勝ち負けはさまざまな「点」で転がるものじゃないのか、という持論があるので。だから、なるべくパラメーターづけを煙に巻く展開にしたかった。

―― 単純な強さの数値化競争で言ったら、殤不患は桁違いですものね。

虚淵 そうです。だから彼が強さを発揮できる条件をはっきりと示して、その条件に合わな いところでは弱くもなりうるという話にしたかった。他のキャラクターもそうです。ゲームだ と、どんな場合でもルールに則って戦うわけじゃないですか。だから数値で強さが決まるわけ ですけど、物語の中では戦いがどんなルールで行われるかわからない。それこそがゲームでは ない、物語ならではの面白さだと自分としては考えていました。

―― 第2期から本格登場した第3の主人公である浪巫謠は、どのような形でキャラクターを 作ったのでしょう?

虚淵 凜雪鴉と殤不患は背中合わせのキャラクターなのですが、ふたりだけだと0と1の関 係になってしまい、キャラクター配置が単純化してしまうと思ったんです。ふたりの間にどう 転ぶかわからないキャラクター……どちらとも対立しうる、共闘しうるキャラクターがほしい。そう考えて作り上げたのが浪巫謠ですね。強いて言うならば、殤不患が中立で、凜雪鴉が陰、 浪巫謠が極端な陽でしょうか。

―― 音楽に関係した能力を持つのは、やはり西川貴教さんがイメージソースだから?

虚淵 もちろん、その側面はあるのですが、もともと霹靂社の布袋劇にも楽器で戦うキャラ クターは大勢いて、そのテイストを『サンファン』の世界にも組み込んでみたいという狙いも ありました。第1期でいろいろな武器を出したんですけど、流石に武器として戦える楽器まで は出せていなかったので。

―― その楽器・聆牙をしゃべらせるという発想は、どういう流れで生まれたんですか? 虚淵 まず、キャラクターがとにかくしゃべり倒してしまうのが僕の脚本の癖でもあるので、 浪巫謠は一転して寡黙なキャラクターにしたかった。ただ、小説なら寡黙な人物の気持ちも地の文で表現できますけど、映像作品ではそうもいかない。本場の布袋劇だと、寡黙なキャラクターの心情表現にはナレーションが多用されるんですが、『サンファン』ではナレーションを使わないことにしていたので、さあ、どうするかと考えた結果が、持っている道具にしゃべらせることでした。

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浪巫謠はまさに凜雪鴉の天敵として作った要素ですね 話を聞かないヤツだから、詐欺には引っかからない(笑)

―― 結果的に、聆牙はおしゃべりでユニークなキャラクターになりました。

虚淵 聆牙のセリフは、小西(克幸)さんのアドリブが本当に多く、それで一気にキャラが立ちました。

―― 変形シーンの声もアドリブだとか。

虚淵 そもそも変形シーンは脚本上ではなかったですからね(笑)。「刀に変わる」「楽器に戻る」みたいな記述しかなかったんですけど、特撮もののバンクみたいな変形ンーンを霹靂社のスタッフさんたちが入れてくれた。そこに小西さんがアドリブで声を入れたら面白かったので、採用させていただきました。

―― 浪巫謠の力は画としても魅力的で、音波で敵の動きを察知するシーンも印象的でした。 虚淵 音で戦うキャラクターは、あれをやるのがお約束かな、と(笑)。また、今回は「幻惑」が敵方の切り札になる能力だったので、それに対抗する切り札として使える能力にしました。婁震戒と浪巫謠の音の駆け引きのバトルシーンの映像的な見せ方に関しては、こちらから要望を出させていただきました。音で世界の様子を捉えている場面のエフェクトは、僕のほうから画像ソフトでフィルターをかけた素材をお見せして、それを現場のプ口の人にもっときれいにやってもらうという形で実現しました。最初、言葉だけで説明したら、画面の色味を変えるだけという誤解があったんです。そうではなく、物体の輪郭を抽出してほしいというのを伝えたくて、直接、こちらで画を作ってしまった。

―― すこい。浪巫謠は野生の勘で行動して、それが概ね正しいのもいいですよね。 虚淵 そこはもう、まさに凜雪鴉の天敵として作った要素ですね。話を聞かないヤツだから、詐欺には引っかからない(笑)。

―― なるほど!(笑)第2期からの登場人物では、悪役の蠍瓔珞がとても可愛いらしくて。

虚淵 第1期で獵魅を生かしきれなかったのが悔しかったんです。第1期の脚本段階では布袋劇のポテンシャルをまだわかっていなかったので、あんなに女性キャラクターの人形の出 来栄えや動きがいい味を出してくれるとは想定外だった。もったいないことをしてしまったな、と。その思いを胸に、戦って活躍できるヒール(悪役)の美女として生み出したのが蠍瓔珞ですね。

―― 彼女の死は残念でした。あの結末はなぜ? 虚淵 物語上の構造としては「初志貫徹できなかったから」に尽きると思います。なんだかんだで、あれだけ忠誠を誓っていた親玉を結局は裏切る形になったわけですし。物語上はあそこで退場せざるをえない展開でしょう。たとえあのあと尼さんになって漫遊しても、あるいは斬り殺されてしまっても、物語における出番がなくなるという点では、シナリオライターの立場からすると同じことなんです。どうせ出番がなくなるのであれば、退場シーンは華々しくしたほうがキャラのためじゃないかという思いが僕の中にはあるんですね。そのほうが記憶に残るキャラクターになるだろう、と。

―― 嘯狂狷はいかがですか。鬼畜眼鏡で。

虚淵 まさに、そのコンセプトから始まりました(笑)。蔑天骸とは別のベクトルの悪役、第1期の結末とは別の形で凜雪鴉を逆上させるような「天敵」を出したかったんです。

―― 小悪党かと思いきや……。

虚淵 小悪党すぎて一本筋が通っていたという。あとは、布袋劇で眼鏡キャラをどれだけ生 かせるかというチャレンジもありました。本家の布袋劇には眼鏡のキャラが結構いるんです けど、第1期ではやらなかったんですよね。そうしたら、こちらの意図を汲んで眼鏡を光らせてくださって(笑)。うまいことライトをレンズ に当てて、彼の外道ぶりを巧みに表現してくれました。

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―― 諦空/婁震戒はどうですか?

虚淵 第1期の最終話で、魔剣目録に『レッドドラゴン』(※編注)の「七殺天凌」をお遊びで入れたんですけど、入れた以上は本編にちゃんと出そうかな……というのが発想のとっかかりでした。で、関係者に連絡をとったところ快諾いただけたので、改めて『サンファン』の世界観に合うようにキャラクターを組み直したんです。ただ、七殺天凌は巻物に封印されている状態なわけですから、婁震戒が『レッドドフゴン』のときと同じ形で、いきなり登場できるわけがない。そこで、七殺天凌と婁震戒の出会いの物語を描こうと考えたんです。そう考えて、婁震戒というキャラクターから、七殺天凌を所持することで変化したであろう要素を引き算して生まれたのが諦空なんです。

―― 螺髪(らほつ)は霹靂布袋劇では定番のもののひとつだそうですね。

虚淵 そうなんです。一頁書(いっこうしょ)というメインキャラのお坊さんが螺髪で、闇堕ちすると長髪になるというギミックもありまして。そういう霹靂布袋劇ならではのギミックみたいなものを『サンファン』で予習してほしいというか、「こういう表現も布袋劇にはあるんだ」と先に見せておきたいという狙いもありました。

―― 『サンファン』版の七殺天凌は、どのようにイメージを固めていったのですか?

虚淵 『レッドドフゴン』はTRPGリプレイの形式で展開された物語だったのですが、七殺天凌は、もとを正せばフィクションマスター(ゲームマスター)である三田誠さんに僕の演じる婁震戒の行動に対する安全装置のつもりで渡していたキャラクターなんです。皆さんセッションを成功させる上でいろいろ考えたんですが、 僕はシナリオを成立させるためにいろいろと面倒くさい気遣いをするのは大変だったので、絶対忠誠を誓うキャラクターをゲームマスターに委ね、どれだけ暴れようとしても、そいつにダメだと言われれば、その場でやめてしまえばいいというようにした。ただ、そういうバランサーとして三田さんにお預けしていたので、七殺天凌は結構婁震戒に気を使ってくれる優しいキャラになったんです。まあ確かに、ヒロインキャラを殺せと命令してきたこともあったんですけど(笑)。

―― 十分凶悪でしたよ(笑)。

虚淵 ともあれ、邪悪さをむき出しにした、ブレーキ役としてのタガが外れた七殺天凌を描 いてみたかったんです。

―― 悠木碧さんの声も艶っぽくて。

虚淵 あれは『FGO(Fate/Grand Order)』の酒呑童子ちゃんがあまりにもよかったのでお願いしました(笑)。

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婁震戒というキャラクターから、七殺天凌を所持することで 変化したであろう要素を引き算して生まれたのが諦空なんです

―― そこがつながる!(笑)もう一本の魔剣である喪月之夜(もつぎのよ)はどう生み出したのでしよう?

虚淵 まず、「七殺天凌を最後に封印する切り札になる剣」というところから発想していきました。

―― ラストの主人公チームと婁震戒の大立ち回りから逆算したわけですね。剣に操られた 人たちの、ゾンビ的な動きの面白さは意識していたのでしょうか?

虚淵 そこはどちらかと言うと、霹靂社さんの現場スタッフの熱に引っ張られたところです ね。霹靂社のスタッフさんは挑戦に貪欲なので、常にいろいろなチャレンジをしている。それにあてられて僕のほうからも、いろいろと提案してみることが多いです。

―― チャレンジという点では、歿王の着ぐるみ表現も驚きでした。

虚淵 歿王は、最初は第1期における石巨人のポジションで、人形だけではない怪物を何ら かの形で登場させる位置づけで脚本に書いていたんです。そうしたら、実際にどう撮るかと いうところで霹靂社さんから「どうせならCGじゃない方法を考えてみたい」との希望があっ て。で、最終的な結論として、着ぐるみでやってみようという話になりました。

―― 着ぐるみには東宝さんの力も借りたとか。

虚淵 そう聞きました。霹靂社さん側のプロデューサーである西本さんが、もともと東宝に 籍を置いていたそうで、そのツテをたどってくださったとか。

―― 布袋劇にアニメの魅力が加わった『サンファン』に、さらに特撮の遺伝子が加わったような。

虚淵 ははは。でも、霹靂社さんの布袋劇はもとから特撮の一環と言ってもおかしくない形態のものだとは思いますね。水や火、火薬の使い方は特撮の現場に近いものがありますから。

―― 最後に、気になるのは第3期の展開です。第2期の最終話で刑亥の生存が明らかになり、 禍世螟蝗と魔族の共闘が匂わされて……。

虚淵 ひとつ言えるのは、禍世螟蝗の話にはなかなかたどり着かないということでしょうか。 いつまで速水奨さんをモノリスのまましゃべらせておくのかと心苦しい気持ちもありますが(笑)、まだまだそこはもったいつける感じになるかと。禍世螟蝗の前に周囲にいる別のモノリスたちの話を描きたいですし、それをやるからには、蠍瓔珞がなまじ活躍してしまった分、見劣りするキャラにはしたくない。世界を広げてしまったばかりに、なんとなく見せたゴール地点に一体いつになったらたどり着けるのか。我ながら考えると気が遠くなる流れだと思います(笑)。

―― 映像表現的に続編で追求してみたい要素はありますか?

虚淵 第2期で思い切りアクションに比重を置いた分、戦いの舞台に関してはわりとありきたりな範疇に収まってしまったんです。第3期では「ファンタジー」に立ち戻って、異世界の空気を背景美術でも出していくような画作りをしてみたいです。

―― またユニークな魔剣も? 虚淵 魔剣の要素は小出しにしていくつもりです。そこもまた、第2期とは違うところにカメラを向ける感じにしようかな、と。これまで自分が手がけてきた作品は、毎回作り切るつもりで書いてきて、あとから急に続編が決まって苦労することも多かったんです。でも『サンファン』では、最初からたたむつもりのない風呂敷を広げられる。このやり方でどんな場所までたどり着けるのか、自分でも楽しみです。

【編注】レッドドラゴン:Webサイト「最前線」で展開されたTRPGリプレイの型式をとった物語。そこで虚淵玄が操作するキャラクター婁震戒は、意思ある妖剣・七殺天凌を持つ。虚淵曰く、本作での七殺天凌の登場はコラボ出演ではなくスターシステムの試み。『レッドドラゴン』の媛とは、設定の根幹部分のみを踏襲しているだけの別キャラクターとのこと。

〈完〉